エネルギーと環境を5つの指標で見る
世界銀行のWorld Development Indicatorsから、CO2排出量・エネルギー使用量・再生可能エネルギー比率・電力アクセス率・森林面積割合の5指標を1枚ずつ表示します。各コマには順位の棒グラフ、日本の値と順位、推移の折れ線を並べています。値と順位は指標ごとの最新年のものです。
| CO2排出量(一人当たり) | 176 | 日本のCO2排出量(一人当たり)は7.8424tで203か国・地域中176位 |
| エネルギー使用量(一人当たり) | 145 | 日本のエネルギー使用量(一人当たり)は3,005.9kgで179か国中145位 |
| 再生可能エネルギー比率 | 154 | 日本の再生可能エネルギー比率は8.8%で212か国中154位 |
| 電力アクセス率 | 57 | 日本の電力アクセス率は100.0%で216か国中57位 |
| 森林面積割合 | 19 | 日本の森林面積割合は68.3958%で214か国中19位 |
日本の位置と、上位・下位に並ぶ国の顔ぶれを見比べてください。指標ごとに単位も対象国数も最新年も異なるため、コマをまたいで数値や順位をそのまま比べることはできません。
要点
日本はエネルギーと環境の指標で、強い面と弱い面がはっきり分かれている。CO2排出量(一人当たり)は7.8424t(2024年)で、203か国・地域中176位。世界値4.6933tの約1.7倍にあたる。エネルギー使用量(一人当たり)も3,005.9kgで世界値1,866.2kgを大きく上回る一方、再生可能エネルギー比率は8.8%で世界19.7356%の半分に届かず、212か国中154位にとどまる。他方で森林面積割合は68.3958%と214か国中19位で、世界平均31.143%の約2.2倍である。なお本稿の順位は、いずれも「望ましい方が1位」となる並びで示されている(CO2排出量とエネルギー使用量は値が小さい国が1位、再生可能エネルギー比率・電力アクセス率・森林面積割合は値が大きい国が1位)。
出典: World Bank, World Development Indicators (EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5 / EG.USE.PCAP.KG.OE / EG.FEC.RNEW.ZS / AG.LND.FRST.ZS)
中心指標の最新値
先頭の指標であるCO2排出量(一人当たり)を見ると、日本の最新値は7.8424t(2024年)、順位は203か国・地域中176位である。この指標では値が小さい国が1位に並ぶため、176位という数字は、排出が多い側に位置することを意味する。世界値は4.6933tで、日本との差は約3.15t、比にして約1.7倍にあたる。一人当たりの値であるため、国全体の排出総量とは別の見方になる点に注意したい。
出典: World Bank, World Development Indicators — Carbon dioxide (CO2) emissions excluding LULUCF per capita (EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5)
上位と下位の顔ぶれ
CO2排出量(一人当たり)の並びで排出が少ない側には、ナウル0.0t(1位)、ツバル0.0t(2位)、グアム0.0018t(3位)、ソマリア0.0455t(10位)、コンゴ民主共和国(キンシャサ)0.0568t(11位)、中央アフリカ共和国0.0633t(12位)が並ぶ。小規模な島嶼や属領、低所得国が中心である。
反対に排出が多い側には、パラオ82.8426t(203位)、カタール47.3322t(202位)、バーレーン23.9t(201位)、クウェート23.6727t(200位)、ブルネイ20.2427t(199位)、トリニダード・トバゴ19.5811t(198位)が並び、産油・資源輸出国や小規模経済が目立つ。
日本7.8424tは、176位という位置から排出が多い側の集団に属する。ただしオーストラリア14.0974t(192位)やアメリカ13.6196t(189位)と比べれば低い水準である。
出典: World Bank, World Development Indicators — Carbon dioxide (CO2) emissions excluding LULUCF per capita (EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5)
この10年でどう変わったか
日本のCO2排出量(一人当たり)は2013年の10.3848tから2024年の7.8424tへ、約2.54t、率にして約24%減った。ただし一本調子ではなく、2020年8.3971tから2021年8.5948tへ一度反転している。エネルギー使用量(一人当たり)も2013年3,567.3kgから2024年3,005.9kgへ約15.7%減少した。
再生可能エネルギー比率は2010年4.7%から2021年8.8%へ、4.1ポイント(約1.9倍)と一貫して上昇している。一方、動いていない指標もある。電力アクセス率は2012年から2023年まで12年間100.0%のまま変化がなく、森林面積割合も68.4697%(2012年)から68.3958%(2023年)へ0.07ポイント下がっただけでほぼ横ばいである。
出典: World Bank, World Development Indicators (EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5 / EG.USE.PCAP.KG.OE / EG.FEC.RNEW.ZS / EG.ELC.ACCS.ZS / AG.LND.FRST.ZS)
近い国とくらべる
CO2排出量(一人当たり)で日本7.8424tは、アメリカ13.6196t、韓国11.3623t、中国9.3151tより低い。一方、ドイツ6.944tより0.90t高く、フランス4.0036tの約1.96倍、英国4.2241tも大きく上回る。
エネルギー使用量(一人当たり)では、日本3,005.9kgはドイツ2,824.6kgより約181kg多く、フランス3,184.8kgより約179kg少ない。アメリカ6,359.4kgの約47%、韓国5,438.8kgの約55%という水準である。
再生可能エネルギー比率では、日本8.8%はドイツ17.6%の半分程度で、フランス16.2%、中国15.2%、英国12.2%、アメリカ10.9%をいずれも下回る。この7か国のなかで日本を下回るのは韓国3.6%だけである。
森林面積割合では日本68.3958%(19位)と韓国64.1086%(21位)が突出し、アメリカ33.8669%、ドイツ32.6789%、フランス32.4765%、英国13.2907%とは差が大きい。
なお電力アクセス率は7か国すべてが100.0%で、順位の違い(日本57位、ドイツ42位、フランス39位、中国26位、アメリカ124位など)は同値のなかでの並び順にすぎず、達成度の差を表すものではない。
出典: World Bank, World Development Indicators (EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5 / EG.USE.PCAP.KG.OE / EG.FEC.RNEW.ZS / EG.ELC.ACCS.ZS / AG.LND.FRST.ZS)
この数字の読み方
ここで扱った指標の多くは一人当たりの値であり、水準は産業構造・気候・国土条件によって変わりうる。CO2排出量はLULUCF(土地利用・土地利用変化・林業)を除いた排出であり、土地利用側の吸収や排出は含まれない。再生可能エネルギー比率は最終エネルギー消費に占める割合で、伝統的バイオマスの利用も含まれうるため、値が高いことがそのまま近代的な設備の普及を意味するとは限らない。実際、上位にはコンゴ民主共和国(キンシャサ)96.3%、ソマリア95.4%といった国が並ぶ。
電力アクセス率は100.0%に達した国が多数あり、順位差に意味を読み取ることは難しい。森林面積割合は更新頻度が低く、日本の値も2018年から2022年まで68.4088%で同一であるため、短期の増減を語るには向かない。また、排出やエネルギー使用が極端に小さい国(レソト9.7273kgなど)は、統計の整備状況や計上範囲の違いが影響している可能性があり、額面どおりに省エネの進んだ国と読むべきではない。
年次の扱いにも幅を持たせたい。再生可能エネルギー比率は指標側の最新年が2022年とされる一方、推移データの年ラベルは2021年までであり、断定は避けるべきである。指標ごとに最新年が2021年から2024年までずれているため、異なる指標の値を同一時点のものとして比較することはできない。出典はいずれも世界銀行のWorld Development Indicatorsである。
出典: World Bank, World Development Indicators (EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5 / EG.USE.PCAP.KG.OE / EG.FEC.RNEW.ZS / EG.ELC.ACCS.ZS / AG.LND.FRST.ZS)
CO2排出量(一人当たり)を地図とグラフで見る
少ない側にはナウル0.0t、ツバル0.0t、グアム0.0018tなど小規模な島嶼や属領が、多い側にはパラオ82.8426t、カタール47.3322t、バーレーン23.9tなどが並びます。日本7.8424tは多い側の集団に入りますが、アメリカ13.6196tよりは低い位置です。
推移は2013年10.3848tから2024年7.8424tへ約24%下がり、2021年8.5948tで一度反転しています。棒グラフの長さの差は大きく、多い側と少ない側では桁が異なります。
国を選んでくらべる
エネルギー使用量(一人当たり)
少ない側はレソト9.7273kg、東ティモール60.7032kgなど、多い側はカタール16,343.0kg、アイスランド15,996.7kgなどです。日本3,005.9kgはドイツ2,824.6kgとフランス3,184.8kgの間に位置します。
推移は2013年3,567.3kgから2024年3,005.9kgへ約15.7%減り、緩やかな下降が続いています。上位国と下位国の差は1,000倍を超える開きがあります。
再生可能エネルギー比率
高い側はコンゴ民主共和国(キンシャサ)96.3%、ソマリア95.4%など、低い側はカタール0.0%、バーレーン0.0%などです。日本8.8%はドイツ17.6%やアメリカ10.9%を下回り、韓国3.6%を上回ります。
推移は2010年4.7%から2021年8.8%へ4.1ポイント上がり、5指標のなかで最も一貫した上昇です。ただし比率の幅は0.0%から96.3%まで広く、国ごとの差が大きい指標です。
電力アクセス率
上位はアルバニア、アルジェリア、オーストラリアなど100.0%の国が並び、下位は南スーダン5.4%、ブルンジ11.6%、チャド12.0%です。日本を含む主要7か国はすべて100.0%です。
推移は2012年から2023年まで12年間100.0%で変化がありません。棒グラフの差は下位の一部の国にだけ現れ、上位は横並びです。
森林面積割合
高い側はスリナム94.4476%、ミクロネシア連邦92.1571%、ガボン91.1824%など、低い側はカタール0.0%、モナコ0.0%などです。日本68.3958%は韓国64.1086%とともに主要国のなかで突出しています。
推移は2012年68.4697%から2023年68.3958%へ0.07ポイント下がっただけでほぼ横ばいです。更新頻度が低く、2018年から2022年は68.4088%で同一値が続きます。